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トロイア戦争 ー神々が仕掛けた10年の計画ー

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目次 戦争の発端   ゼウスの計略   テティスの結婚   パリスの審判   メネラーオスの憤激 英雄たちの運命   パトロクロスの献身   ヘクトールの最期   アキレウスの急所 戦争の終わりと新たな物語   トロイの木馬   オデュッセウスの旅立ち まとめ 戦争の発端 ゼウスの計略  ある日、人間の数が増えすぎたと考えた神々の王 ゼウス は、人間の数を減らすべく神々をも巻き込んだ大戦争を起こすことを計画しました。  とはいえ、いかに神々の王であっても理由もなしに戦争を起こすことは許されません。  そこでゼウスは、女神たちを利用することを思いつくのです。 テティスの結婚  ゼウスの計略の第一段階として、海の女神 テティス と人間の王 ペーレウス との結婚が取り仕切られました。  テティスは海の神 ネ―レウス の娘であり、法の女神 テミス によって 「必ず父親よりも優れた子を産む」 と予言された女神です。  彼らの結婚式には数多の神々が列席しました。  しかし、不和の女神であった エリス だけは招かれません。  怒ったエリスは、式場に 「最も美しい女神へ」 と書かれた黄金の林檎を投げ込みます。  この林檎に対し、所有権を主張した女神は三柱。  ゼウスの后にして神々の女王たる、 ヘーラー 。  ゼウスの姫であり類稀なる軍略を誇る処女神、 アテーナ― 。  天空神ウーラノスから生まれた美と愛の女神、 アフロディーテ― 。  彼女たちは己こそが最も美しい女神であるとして、ゼウスに審判を求めました。  余談ですが、この三柱の女神たちはそれぞれが「主権」、「戦闘」、「生産」という三つの社会的な階級を表しているとも言われています。 パリスの審判  審判を求められたゼウスは、「ヘーラーの夫であり、アテーナ―の父である自身にはその役目はふさわしくない」と、第三者に判決を委ねました。  そこで選ばれたのが、当時はまだイーデー山で羊飼いをしていたトロイアの王子、 パリス です。  彼の前に降り立った三柱の女神は、それぞれが自身を選んだ時に見返...